相談員 :公営住宅建替事業における事業者のコンソーシアムに移転支援企業として参画し、直近7年で約450世帯の移転や退去に携わってきました。
室長 :建替事業の完遂に向けては、行政の意向や建設工事の進捗などを密に擦り合わせたうえ、移転者へ丁寧に説明していく必要があります。そのため現地に移転支援事務所を開設し、そこを拠点として業務に取り組んできました。
室長 :豊富な経験を持ち、必要な専門資格を有するスタッフが常駐する体制を整えています。スタッフは高齢者及び子育て世代等への理解も深く、事業期間を通して同じメンバーが対応することで、移転者と早期から顔見知りとなり、信頼関係の醸成に努めています。
相談員 :移転者の近くで寄り添うために、移転対象住宅の空き住戸を利用して移転支援事務所を設置します。安全で来場しやすくプライバシーにも配慮した環境をつくります。早期に設置することで、移転に関する不安の相談相手となり、移転の円滑な遂行を図ります。移転支援事務所に来所が困難な方に対しては必要に応じて直接スタッフが赴くなど、情報格差を生まないよう、仕事等で平日や昼間に都合の悪い方には個別に対応しています。
Q :移転支援業務ではどんなことが印象に残っていますか?
相談員 :やはり新型コロナウイルスの感染拡大時の対応でしょうか。今までの移転支援業務で、当たり前にできていたことが、いろいろと制約が増え、説明会・抽選会の会場や方法を変えていかなければならない状況になったことです。日々の業務も居住者とのコミュニケーションが重要でしたが、コロナ禍ではいろいろと工夫が必要となりました。その中で臨機応変に対応しながら、感染対策を取り、感染者を出すこともなくスムーズな移転ができたことは良かったと思います。
室長 :テレビなどでよく目にする、「ゴミ屋敷」ですね。移転支援業務をしていると、何軒かは実際にそういった場面に遭遇することがあります。移転の機会に、不要な物を処分しましょうといってもすんなり片付けることができない場合が多く、どのケースでも簡単に問題が解決することはありません。地道に信頼関係を築いていき、少しずつでも片付けられるよう根気強く働きかけています。
相談員 :新聞受けの新聞がそのままだったので、気になって訪問した際に、家の中で居住者が倒れられたのを見たときは、びっくりしました。幸い大事には至らなくすんだのですが、ゴミ屋敷・生活困窮者・孤独死など、今の社会問題の縮図を見るようで、移転支援業務をしていく中で、考えさせられる事も多いです。
室長 :これからも公営住宅のPFI建替事業は全国的に増加していくと思われます。公営住宅の設計や建設などのハード面については概ね技術的に洗練されていると思いますが、移転支援業務というソフト面はまだまだスタンダートいうものがない状況です。
これまでは、グループ会社である東レ建設㈱のコンソーシアムの一員として移転支援業務を担っておりましたが、様々な行政機関や建設会社から移転支援業務の参画オファーをいただく機会が増えてきています。今後も、団地再生や街作りといったプロジェクトを通じて社会貢献してまいります。